経済統計のIT化


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経済統計のIT化

経済統計のIT化が叫ばれていますが、どういうことでしょうか。

まず、経済統計の課題とは何か、そもそも経済統計とはどのような構造になっているのでしょうか。そして、この経済統計の纏わるIT活用とITとの関連について述べます。

 

経済統計の課題

日本の統計は精度や速さで欧米に劣る。

GDPは経済の規模や成長率の実態を正確に反映していない。潜在成長率が0%台に低迷し、統計の僅かなゆがみが経済政策に影響を及ぼす。このため、速報値と公表値で符号が変わることもある。

高齢化の進展、世帯構造や働き方の多様化への対応ができていない。

多様なサービスの生産・消費活動の把握ができず、しかもサービス産業のシェアは60%超に達している。行政記録情報等の活用も進んでいない。

上記のような、経済統計の課題に対して、ITの活用やIT関連への対応が望まれています。

 

経済統計

そもそも経済統計とは何か、どのような構造になっているのでしょうか。

(1)経済現象と統計-各種の経済現象を対象として、統計が収集される。次の図を参照してください。

 

(2)一次統計

基本となる一次統計については、国勢調査、日銀短観、労働力調査など殆どの統計がこれに該当し、サンプル調査、全数調査、業務統計の種類があります。

サンプル調査

設備投資調査、家計調査、法人企業統計調査、生産動態統計、小売物価調査等があります。

全数調査

工業統計調査があります。

業務統計は官公庁が業務を行う過程で得る情報の集計です。

貿易統計、有効求人倍率(ハローワークの職業紹介業務)などです。

(3)二次統計

加工統計とも言われ、一次統計を利用して加工・集計を行います。GDP、鉱工業指数、CPI、景気動向指数など重要な統計があります。GDP基準、指数化ウェイト、単純加工などの加工を行います。

(4)GDPを構成する統計の例です。

個人消費(民間最終消費支出)家計調査、商業動態統計調査、消費活動指数
住宅投資(民間住宅)
設備投資(民間企業設備)、在庫投資(民間在庫品増加)
政府消費、公共投資(公的固定資本形成)、政府在庫
財・サービス輸出、財・サービス輸入

このように、多くの経済統計が存在し、GDPの計算が行われています。

 

IT活用

このような経済統計に対して、ITの活用はどのように進められるのでしょうか

(1)会計ソフト

法人企業統計は、約2.3万社から、四半期毎に設備投資や収益を紙やインターネットで回答しますが、回答率が6割程度に留まっています。
会計ソフトと連動し、入力した内容をネット経由で提出すれば、公表の早期化が行われ、また、研究開発費も調査することができます。 民間ではこのような試みとして城南信金とフリーが業務提携し、融資先などの会計業務効率化を進めています。(8/5日経より)

(2)家計簿ソフト

家計調査は家計簿をつける手間がかかります。このため、時間的な余裕がある高齢層などへの調査対象の偏りが見られます。そこで、スマホの家計簿アプリで入力し、若年層の対象を広げようとしています。
実際に、サンプル数が2人以上世帯で約8000件と少なく、専業主婦がいる世帯や高齢者世帯に偏っているのが現状です。品目ごとに計量し、6カ月間毎日記入しなければなりません。現行の4倍程度のサンプル数がないと誤差が減らないと言われています。

(3)住宅投資、雇用者報酬

住宅投資については、建築物リフォーム・リニューアル調査を四半期毎に行い、GDPに反映するようにします。これにより、建築工事届が不要な工事を把握し、増改築や修理・修繕を総固定資本形成や中間消費に計上していきます。
雇用者報酬についても、毎月勤労統計の調査対象入れ替えの頻度を高めていきます。

(4)ビッグデータ

POSや電子マネーの利用情報、税務データを、個人情報を匿名化して、既存の政府統計を組み合わせて景気判断に活用していきする。また、物流データによって、地域間の荷動きを把握します。

 

IT関連

ITは活用するだけではなく、ITに関連する経済事象の統計化も必要となります。

(1)インターネット通販

現在、店頭で売られている商品の値段を集計しています。しかしながら、店頭より安いネット通販の商品価格を反映させて、CPIの改善を行っていきます。

(2)サービス業関連統計は複数の省庁に跨っおり、その捕捉がバラバラであり、統合的な把握が必要です。

シェアリング・エコノミーについては、ネットを媒介にした車や部屋の提供を把握する方法の研究を要します。シェアリングによる雇用関係を結ばない働き方(ギグ・エコノミー)の広がりや家事サービス業など中小・零細な事業者による個人向けサービスの補足、更には無料サービスの提供はGDPに含まれないが、実際は広告収入を得ており、仲介事業者の情報を収集する必要もあります。

デジタルコンテンツについては、ソフトウエア開発やコンテンツ配信業務等あるいはCDなどパッケージ化した商品は捕捉できるが増大するネット経由の音楽の量は捕捉できていない状況です。
現在は官公庁の統計を採用し、民間統計の活用は一部にとどまるため、ネット通販や電子マネー、車や部屋のシェアビジネスが捕捉できておりません。

(3)観光庁

インバウンド消費の規模が拡大しており、影響が拡大し、四半期毎の訪日外国人消費者動向調査規模を2倍超の2万人に広げます。

 

補足

経済統計についての補足です。

(1) 「誰でも使える統計オープンデータ」

mooc《massive open online course》は大学などの教育機関がインターネットを通じて講義を行っています。その一つであるGaccoは、総務省統計局などと連携して「誰でも使える統計オープンデータ」を開講しました。その内容は次のようになっております。オープンデータとしての経済統計の活用が推奨されており、とても有用です。

E-Stat(政府統計ポータルサイト)を使ったデータ分析
公的統計データの使い方
統計GIS(Geographic Information System)の活用 地図による小地域分析=jSTAT MAP
統計オープンデータの高度利用 統計API(Application Programming Interface)

(2) 統計検定/統計調査士

統計検定の受験者が増加しています。統計検定には、統計学知識そのものではなく、経済統計の活用等を目的とする「統計調査士」の資格試験も含まれており。試験内容は以下のようになります。経済統計の知識を深めるために、受験してみてはいかがでしょうか。

統計の基本
統計の役割、統計法規
公的統計調査の実務 統計調査の基本的知識、統計調査員の役割・業務
統計の見方と利用 主要な公的統計とその見方・利用

以上

小宮

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